再提出となった「図書館制度・経営論」のレポートです。
反省点をメモ(青字部分)してみました。悪いレポート例として参考にご覧ください。
「図書館制度・経営論」設題
「図書館経営の基本思考」における「未来思考」の5点について簡潔明瞭に説明した後、その「未来思考」を受けて、今後の専門職としての司書のあるべき姿を論じるとともに、それに伴う図書館運営のあり方を、貴方自身の考え方を含め論じて下さい。
「図書館制度・経営論」不合格レポート解答例
不合格レポート解答例です。
1.はじめに
「図書館経営の基本思考」における「未来思考」について5点述べる。その「未来思考」を受け、今後の専門職としての司書のあるべき姿について考察し、それに伴う図書館運営のあり方を自らの考えも含め述べる。
2.「図書館経営の基本思考」の「未来思考」
まず、経営を考える際に大切なことは、できるだけ先を見据えて政策を練ることである。また、情報化社会においては、いかに有用な情報を迅速、的確に収集し政策に活かせるかが、成功へ導く鍵となる。有用な情報には大きく分けて5つあり以下に述べる。
↓反省点:「未来思考」(1)~(5)の各記述が長すぎる。特に(2)!
(1)文教政策情報
まず第一に、国や地方自治体などの教育行政に関する情報が挙げられる。ここ最近の例として、2021年6月2日公布「著作権法の一部を改正する法律」において「国立国会図書館による絶版等資料のインターネット送信(第1条関係)」(2022年5月1日施行)や、「各図書館等による図書館資料の公衆送信(第2条関係)」(2023年6月1日施行)がある。このように教育行政に関する情報は、図書館政策に大きな影響を与えることから、日頃からその動向を注視したうえで、経営戦略を練る必要がある。
(2)社会変化情報
図書館学の五法則の一つ「図書館は成長する有機体である」という言葉にもあるとおり、図書館は社会変化に合わせて発展することが大切である。以下に社会変化の要因を4点挙げる。
①情報環境の変化
情報技術の発展はめざましく、細野・長塚(2016 ※1)が「現在では、館種を問わず、情報機器利用環境の整備が不可欠」と述べているとおり、高度な情報技術を兼ね備えた設備環境を整備し、維持管理することが重要である。そのためには、運営システムのみならず組織を柔軟に構築する必要がある。また、情報処理能力に長けた専門職員を採用するなど人材面でも配慮する必要がある。
②高齢化社会
高齢化社会の到来により、例えば大活字本やルーペ、拡大読書器などの備品の充実や、医療関係の情報を集めた健康・医療コーナーの設置など、高齢者にとって利用しやすい図書館のあり方を考える必要がある。また、人口動向情報なども図書館政策の計画を立てるうえで重要である。
③高度学歴化社会
高度学歴化社会に伴い、利用者が必要とするサービスを提供するためにはレファレンスをはじめ図書館サービス全体の質を高める必要がある。また、図書館員もより高い専門性、知識が求められる。
④少子化社会
子どもの少子化は、公共図書館においては、児童室の設計や運営に影響を及ぼす。児童サービスをどう展開するべきか、予算配分、選書のあり方に至るまでビジョンを明確にしておく必要がある。
(3)図書館界の変化情報
図書館は、母体となる親機関を持ちながら、同時に「日本図書館協会」「私立大学図書館協会」ほかさまざまな図書館団体に属している。そのため、図書館経営は縦軸の親機関と横軸の図書館団体の方針・方策に関する動向についても十分考慮しなければならない。とりわけ親機関からの方針は、人員削減や予算削減など直接図書館経営に大きく影響してくる。
(4)出版界・情報産業界の変化情報
これまでの紙や磁気資料等に、電子書籍やデータベースなどの電子資料が加わり、出版形態も変化が生じている。この変化は、予算編成、設備整備計画、備品調達計画、保存計画、利用指導など図書館政策に大きな影響を及ぼすため、その動向を常に把握しておく必要がある。さらに、情報拠点としての図書館、「知る権利」を保障する唯一の公的機関として、インターネット社会の動きを的確にとらえ、図書館経営に反映させる必要がある。
(5)マーケティング変化情報
適切なサービスを提供するためには、社会的ニーズを把握することが必要である。図書館経営を行う際の情報として常にアンテナを張っておくことが重要である。
↓反省点:上記「未来思考」(1)~(5)の記述が長すぎて、こちらの「今後の専門職としての司書のあるべき姿と図書館運営のあり方」の記述内容がうすっぺらい!
3.今後の専門職としての司書のあるべき姿と図書館運営のあり方
司書はまず上記2.で述べた情報の動向について注視し、各主題ごとの研修などを通して自己研鑽に努め、人的ネットワークを構築しながら専門職としての自覚をもって職務を遂行するべきである。その際に利用者の立場で図書館業務を見る「利用者中心思考」をもって行動できることが司書のあるべき姿であると考える。
また、上記2.で述べたように、図書館をとりまく環境は多様化、高度化している。図書館運営にあたっては、各方面の状況や情報を的確にとらえ、変化に応じて柔軟に対応し発展していく建設的発展思考を持つ必要がある。ただし、長期にわたって確実に成長し、発展するためには、全体のバランスを重視し、全体を調和させる中道思考も必要と考える。
これらすべてを実現させることは容易ではない。しかしながら、そのような時こそ実現に向けて、利用者がなにを求めているのか考察する利用者中心思考で図書館運営を考えることがなによりも大切なことであると考える。
(2000文字)
参考文献:
※1「デジタル環境と図書館の未来-これからの図書館に求められるもの」細野公男・長塚隆(日外アソシエーツ 2016)
※2 報告書「これからの図書館像」文部科学省ホームページ https://www.mext.go.jp
※3 「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」文部科学省(テキスト「資料編」収蔵)
講評では「第6章『組織のあり方』や第8章『人的資源のあり方』をもっとよく読み込むように」とのこと。
後半部分の記述に盛り込み、論じられるようにする!
「図書館制度・経営論」合格レポート解答例
反省点を踏まえ再提出し、合格となったレポート解答例です。
どのように考えてレポートを作成したかはこちらに詳しく記載しています。