「児童サービス論」のレポートの解答例です。
レポート作成の参考にご覧ください(読みやすいよう改行を少し加えています)。
2023年4月入学です。
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「児童サービス論」設題
①児童サービスにおける読書の意義と役割について述べ、また図書館における児童サービスがなぜ重要であるかを述べなさい。
②児童資料の種類と特性について述べ、児童サービスの実践においてそれらの資料をどのような場でどのように生かすべきかを述べなさい。
「児童サービス論」解答例
児童サービスにおける読書の意義と役割および、図書館において児童サービスがなぜ重要なのかについて述べる。次に、児童資料の種類と特性について述べ、児童サービスの実践においてそれらの資料をどのような場でどのように生かすべきか述べる。
1.児童サービスにおける読書の意義と役割
児童サービスにおける読書の意義として、子どもと本をつなぐこと、そしてそこから、子どもと社会をつなぐことが挙げられる。それらを実現するための児童サービスにおける読書の主な役割を挙げる。
①子どもが多様な知識、考え、意見に触れることができるよう、必要な資源やサービスを提供する。
②子どもが読書によって言葉を覚え、学習していく基盤を作り、自分なりの発見に至る喜びを体験するきっかけを与え、社会生活に必要な情報を得る手段を身に付け、豊かな人生を送るための基礎を構築する。
③騒いではいけない、借りた本は返さなければいけないなど、公共性や社会にルールがあることを学ばせ、社会との接点となる。
上記のとおり、児童サービスは読書という観点から、子どもが視野を広げ、市民としてよりよい活動をしていくためのサポートを行い、その結果として民主的な社会の発展と維持を図るという重要な役割を担っている。
2.図書館において児童サービスがなぜ重要か。
読みたい本を選び、読みたい本が読めるという、完全な自由読書を行うことができる図書館は、子どもの自由な精神活動を推進し、人間性を豊かにするために重要である。それらは、石井桃子が「新編子どもの図書館」で「子どもがわくにはまらず、その子らしく育つためには、どうしても、この自由な精神活動が必要だ」(※1 p187~188)と述べているとおりである。「人間だれしもがもっている、快いものや知りたいものに手をのばす力、それをにぎりしめ、自分のものにして、自分らしい人間になる力」(同※1 p189)を得るためにも、図書館における児童サービスは大変重要である。
また図書館には、子どものレベルに応じて適切な本を選ぶことができ、分野、内容、対象年齢などにおいて、どのような本があるかの知識を持った児童図書館員がいて、良質な本がそろっていることも、図書館における児童サービスの特筆すべき重要な点といえる。
3.児童資料の種類と特性
①絵本:絵と文から(中には絵だけから)なりたち、保護者や身の回りの大人に読んでもらうことで、文字やことばがわからない時期から、身の回りの事物や社会について知ることができる資料。
②伝承文学(昔話、民話など):昔から語り継がれてきた文学。語り継がれてきた話であるだけに、今でも人々に感動を与える話が多い。
③児童文学(幼年文学、児童文学):子どもを読書対象とする文学で、その本の読者の対象年齢に応じた漢字を使用したり、ルビをふるなど工夫がされている。
④詩:選りすぐられた短い言葉で表現され、その言葉にはリズムがあり、韻を踏んだりしているのも特徴的である。
ことばあそび:言葉が持つリズムや特性を生かしたのことで、早口言葉、しりとりなどさまざまな種類がある。
⑤ノンフィクション文学(伝記、日記、実用書)、知識の本、参考図書(レファレンスブックなど):事実をもとに描かれた文学性が感じられる読み物。
⑥その他の資料(紙芝居、しかけ絵本、布絵本、点字絵本、視聴覚資料など):ページの中や資料の素材などに工夫を凝らした本(資料)。点字絵本など、障がいを持った子ども向けの資料も含む。
4.児童サービスの実践において児童資料をどのような場でどのように生かすべきか。
最も大切なことは、子どもの発達に応じて、上記3.で述べた各児童資料の特性を活用しながら、児童サービスを提供することである。どのような場でどのように生かすべきか、下記に具体例を挙げる。
・赤ちゃんの定期検診時などに、ブックスタートとして、図書館独自に、または自治体と提携し、赤ちゃん絵本や絵本のリストなどを配布する。これは、笹倉剛が「心の扉をひらく本との出会い」の中で「赤ちゃんが最初に本に出会い、そして保護者が子育ての中で、本の重要性を認識するという点で、大きな意味をもっている。」(※2 p197)と述べているとおり、赤ちゃんのみならず、その保護者に本の重要性を意識してもらい、気軽に図書館へ来てもらうきっかけづくりに生かすことが大切である。
・乳幼児期(0~2歳)は、絵本や紙しばいなどの児童資料を、絵本を楽しむ会などの「読み聞かせ」やわらべうたを歌う場で活用し、耳からの読書を楽しめるよう生かすとよい。
・3、4歳になると物語を楽しみ、物語を遊びに取り入れるようになるため、絵本や、伝承文学などの児童資料を「読み聞かせ」や「ストーリーテリング」の場で取り入れ、子どもたちが感性をみがき、想像力を育めるよう生かすべきである。
このように、さまざまな工夫を凝らした児童サービスを提供し、子どもが本に親しみ、親子の絆を深め、家庭での読書の推進につなげることが児童サービスの重要な役割であると考える。
(2065文字)
「児童サービス論」参考文献
※1「新編子どもの図書館」石井桃子(岩波書店・2015.3.17)
※2「心の扉をひらく本との出会い」笹倉剛(北大路書房・2002.10.12)
「児童サービス論」講評
「読書の役割」が項目の列挙になってしまっていますが、なるべく文章で書くように心がけてください。3.で挙げた種類と特徴を、4.の場でどのように生かすのかを関連付けて述べるとさらに良かったです。
「児童サービス論」レポート作成談
合格をいただけましたが、講評にあるように項目の列挙ではなく、文章で書いたほうがレポートとしてよかったと思います。
「児童サービス論」のレポート作成談です。