「情報資源組織論」のレポートの解答例です。
レポート作成の参考にご覧ください(読みやすいよう改行を少し加えています)。
2023年4月入学です。
ここに掲載のレポートを写してご自身のレポートとして提出することは、大学の教育方針に反しますのでご遠慮ください。類似レポートは再提出となるのでご留意ください。あくまでも参考としてご覧ください。
「情報資源組織論」設題1
指定したキーワードをすべて使って、各設問の解答を完成させてください。
1.現在、多くの公共図書館や大学図書館で、外部の書誌データを利用した目録作成業務が行われています。集中目録作業と分担目録作業(=共同目録作業)、それぞれの特徴(意味や役割、課題など)を明確にし、さらに今後の目録作成業務のあり方について自らの見解をまとめてください。(1,000字)
<キーワード:MARC、集中目録作業、分担目録作業、総合目録、書誌ユーティリティ>
「情報資源組織論」解答例1
現在行われている目録の作成方法には、集中目録作業と分担目録作業の2つがある。それぞれの特徴や役割、課題を考察したうえで、今後の目録作成業務のあり方について自らの見解を述べる。
1.集中目録作業とは、特定の1つの図書館や組織が中心となって、他の多くの図書館に書誌レコードを利用してもらうために集中的に目録作業を行うことである。この作業は、各図書館が目録を個別に作成することによる非効率さや負担を軽減する役割を担っている。この作業は当初、印刷カードの配布という形式で始められたが、現在は業務軽減のため、コンピュータで処理可能な目録データであるMARCが普及している。
課題は、書誌レコードの頒布を受ける側の図書館が新刊書を受け入れたとしても、書誌レコードが作成され頒布されるまで待たなければならず、新刊書の提供時期に一定のタイム・ラグが生じることである。
2.分担目録作業とは、多くの図書館が責任を分担して目録を作成、その成果を共有し、利用する目録作業である。自館で必要な書誌データが既にデータベース上に作成されていればそれをコピー・カタロギングし、作成されていない場合にのみオリジナル・カタロギングを行うことで、目録データ作成の効率化や費用削減を図ることができる。
また、この作業により目録を作成した図書館すべての所蔵を検索できる大規模な総合目録の構築が可能となった。
課題は、多くの図書館が目録作成に携わることにより、目録作業者の水準にばらつきが生じ、書誌レコードの質がまちまちになることである。そのため現在は、目録データの質を維持、管理するための専門の機関である書誌ユーティリティがその役割を担うのが一般的となっている。
情報通信ネットワークの発展により、目録作成業務は今後ますます迅速かつ正確性が求められるものと考える。
その要請に応えるためには、オンライン書誌情報システムやデータベースを中心とした情報サービスを提供する書誌ユーティリティ等の専門機関との連携が欠かせない。またそうすることで先に述べた課題、ウィークポイントをうまく補うことができるのではないか。
ただし、図書館、とりわけ情報資源組織化に関する環境の変化は大きく、課題解決はそう容易ではない。図書館業務に携わる者一人ひとりが、新たな技術や時代の変化を見据え、理想の図書館とはどのようなものか日々模索しながら業務を行う必要があると考える。
(1000文字)
「情報資源組織論」参考文献1
・〇〇市立〇〇図書館 https://www.〇〇.jp
・「分類・目録法入門 新改訂第6版-メディアの構成-」志保田 務、田村 俊明、村上 幸二/著(第一法規)
・「情報資源組織論及び演習<第3版>」那須 雅煕、蟹瀬 智弘/著 大串 夏身、金沢 みどり/監修(学文社)
「情報資源組織論」設題2
2.地域の図書館(公共図書館)での現地調査もしくは調査対象館のHPの蔵書検索により、「蔵書の所在記号(背ラベル)の付与のしかた」について複数ケースを洗い出し、気づいたことをまとめてください。さらに、調査で得た内容や関連情報をもとに、書架分類と書誌分類という二つの点から、NDCの分類(記号)を活用することの意義や課題について考察してください。尚、調査対象館は“NDCを採用する近隣の公共図書館”で、取り扱う情報資源は“紙資料”とします。(1,000字)
<キーワード:書架分類、書誌分類、目録、配架(テキストでは排架を使用)、所在記号>
「情報資源組織論」解答例2
地域の図書館で蔵書の所在記号(背ラベル)の付与のしかたについて調査を実施した。その調査結果をもとにNDCの分類(記号)を活用することの意義や課題について考察する。
調査対象の図書館名称
「〇〇市立〇〇図書館 〇〇分館」(現地調査)
「〇〇市立〇〇図書館」(HPによる蔵書検索)
1.蔵書の所在記号(背ラベル)の付与について
(1)現地調査をした際、興味深かったのが「こどものほんコーナー」であった。
絵本の所在記号(請求記号)は「E」に絵を描いた人の名前の最初の一文字(カナ)の組み合わせである。例えば、書架分類で配架された児童書「字のないはがき」(原作:向田邦子、文:角田光代、絵:西加奈子 小学館)の請求記号は「E/ム」でも「E/カ」でもなく「E/二」である。
(2)次に注目したのが、以下の所在記号(請求記号)である。
① 494.96/ミ(外科学)「ボクもたまにはがんになる」(三谷幸喜、頴川晋/著・幻冬舎)
② 498.3/サ(予防医学)「ももこのおもしろ健康手帖」(さくらももこ・幻冬舎)
2.調査をして気づいたこと
絵本の所在記号の意味を知らないと、書架分類された蔵書を探す際、たとえば文を書いた作者名などで所在記号を追ってしまう可能性があるのではないか。
上記①および②の著者の蔵書はそれぞれ「914.6(評論・随筆・エッセイ)」に多数配架されているが、今回は全く別の分類で、請求記号も予想だにしないものであった。
3.調査結果を踏まえたNDCの分類(記号)を活用することの意義および課題
書架分類はNDCに基づいて付与された所在記号によって、主題からの検索が可能である。また、同一主題を持つ資料が書架上に集中し、関連した資料も排列されているため、近似の主題の資料検索がしやすい。一方、所在記号は1資料に1つしか与えられないため、2つ以上の主題を持つ資料でも1つの主題からしか検索ができない。また、開架書庫にある資料しか検索できず、閲覧中、貸出中、閉架書庫の資料は検索不能である。
書誌分類は目録や書誌に収録する主題情報を主題別に体系的に排列する分類法であり、主題分析の深度を深めることができる。
以上より、書架分類と書誌分類それぞれの特性を理解したうえで活用する必要がある。そして最も大切なことは、図書館サービスの基盤を形成するこの情報資源組織を、レファレンス・サービス等に活かし、利用者満足につなげることであると考える。
(1000文字)
「情報資源組織論」参考文献2
・〇〇市立〇〇図書館 https://www.〇〇.jp
・「分類・目録法入門 新改訂第6版-メディアの構成-」志保田 務、田村 俊明、村上 幸二/著(第一法規)
・「情報資源組織論及び演習<第3版>」那須雅煕(学文社)
「情報資源組織論」講評
論文の構成を考慮した論述になっており、概ね要点を押さえてまとめられています。結論部分でご自身の考えを交えて述べられている点も評価できます。実際に公共図書館を調査することによって、利用者の利便性の向上のために、所在記号の付け方や配架、案内などについて様々な工夫を試みていることが実感できたのではないかと思います。
「情報資源組織論」レポート作成談
「情報資源組織論」のレポート作成談です。